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日野市の社労士ブログ

紅葉がきれいです

【2024年10月15日】

ーNo.45 東京都介護職員居住費支援特別手当事業

東京都内の介護保険サービス事業所、障害福祉等サービス事業所に勤務する介護職員・障害福祉サービス職員対象に「居住支援特別手当」を支給する事業が行われており、当事業の受給を希望する事業者は今年の12月27日(金)までに交付申請する必要があります。この事業ですが、本来なら国が行う事業を国に代わって行う(よって国が行うまで1年度で終わらず当面継続となっている)こととのこと。

この支援事業ですが、5年目までの職員には2万円、6年目以降は1万円支援することになっており、その給付条件として就業規則(賃金規程)への特別手当を支給する旨の記載があります。なお、特別手当は事業主に給付されるので、給付額の範囲内で支給額を変更することは可能です(その旨賃金規程への記載が必要)。

受給できる職員は直接介護を支援する方で週の所定労働時間が20時間(月に80時間以上)であることが必要です。要は雇用保険の被保険者が中心となります。なお、法人代表者含む役員も上記の20時間以上介護業務に携わっているのであれば受給対象となります。

申請書類は年内に提出することで4月に遡って受給することも可能となっており、今後年末に向けて申請する事業所も増えると思います(私の顧問先でも未着手となっている企業が数件程あります)。申請は現在はオンラインで事前申請(審査)を行い、審査終了後に必要書類を郵送することになります。

支援特別手当は処遇改善加算と同様、受給した分は職員に支出する必要があり、実績報告する必要もあるので、事業所が儲かる訳でもありません。職員さんは喜びますが、事業主は事務負担が増えるだけです。ただ、そうは言っても一人1万円から2万円の賃上げができる訳ですから、申請しない手はありません。申請期限も迫ってきていますので、未申請の事業所は早めに着手することをお勧めいたします。

【2024年9月12日】

ーNo.45 就業規則の周知

従業員を10名以上雇用している事業場は就業規則を作成し、所轄労働基準監督署への届出が義務となっています(労働基準法第89条)。なお、10名未満でも労使トラブルの防止や職場秩序の保持を目的に作成する事業場が増えています。

就業規則は単に作成し、労基署へ届出すれば終わりではなく、事業場内での周知が必要です(労働基準法第106条)。周知とは全従業員が見たい時に見ることができる状態を言い、周知していなければ、届出た就業業規則の効力が無効となってしまいます。

周知の方法は以下のとおりです。
①常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付けること。
②労働者に書面で交付すること。
③磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が内容を常時確認できる機器を設置すること。

よって一部の従業員のみが閲覧可能な状態や社長の鍵付きの机の中に入っていたり、閲覧が許可制などは周知とは言いません。誰もが見ることのできる場所に掲示・備え付けることが大切です。

就業規則をファイルに綴じて保管している事業場も多いですが、最新の就業規則になっていなかったり(古いままになっている)、届出に際し添付した就業規則届や労働者代表の意見書がなかったりすることも時折見受けられます。一度ご確認ください。

【2024年8月7日】

ーNo.44 最低賃金の引き上げ

厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会は7月24日、2024年度の最低賃金の目安を全国平均で1,054円(現在は1,004円)とする決定をしました。上げ幅は過去最大で、東京都でも最低賃金は50円程上がる見込みです。なお、最低賃金は各都道府県の最低賃金審議会での議論を踏まえ最終決定し、適用は10月に支給する賃金からとなる見通しです。
現在、東京都の最低賃金は1,113円(神奈川県は1,112円)。これが50円上がると1,163円(神奈川県で1,162円)なります。ちなみに5年前の2019年の最低賃金は東京都で1,013円で前年の2018年から28円上昇し、はじめて1,000円を超えています。コロナ禍で最低賃金の引き上げがほぼ見送られた年もありましたが、この5年間で150円最低賃金が上がったことになり、正社員で月の所定労働時間が160時間の社員で換算すると24,000円の賃上げに繋がったことになります。なお、今年の春闘での結果を見ると全体平均で5.1%(15,281円)、従業員100人未満の中小企業では3.98%(9,626円)の賃上げとなっています。

最低賃金が引き上がることにより、現在最低賃金水準で雇用する労働者(パートタイマーが多いと思います)の賃金を改定すると共に、他の社員の賃金も見直す必要が生じるかもしれません。
昨今の燃料費をはじめとした物価の上昇などもあり、賃上げは益々固定費を高め経営を圧迫する可能性があります。月並みではありますが、適正な価格転換、IT化により業務効率を高める、人材投資により生産性を高めること等も必要と言えます。
また助成金や補助金など公的な支援策の活用も検討することも必要かもしれません。賃上げの際に活用できる助成金として業務改善助成金があります。この助成金は単に賃上げするだけでなく、設備投資等により生産性向上に資する取り組みを行うことが必要で、設備投資等の額の一部が助成されます。他にも要件がありますが、ご興味がありましたらご連絡ください。

蓮の花が咲いていました

【2024年7月17日】

ーNo.43 年休の計画的付与の導入について

 2019年より年次有給休暇(以下、年休)を年5日以上取得させることが事業者の義務となっています。ただ従業員によっては年休を取得したがらない方もいて、年5日の取得義務をクリアできていない事業所も多いように思います。
 労働基準法第39条第6項は、労使協定により年休を与える時季に関する定めをしたときは、年休の5日をこえる部分について、年休を与えることができると規定しています(年休の計画的付与)。この制度を活用することにより、夏休みや年末年始ゴールデンウィーク等に年休を計画的に与えることができ年休の取得率を高めることが可能です。
 年次有給休暇の計画的付与をするためには、事業場の労働者の過半数を代表する者と年休を定める時季(具体的な年休日)等に関する書面による労使協定を締結する必要があります。
 計画年休の労使協定が締結された場合には、その協定の定めるところにより年次有給休暇が付与されることとなりますが、この計画的に付与された年休日については、原則変更することはできません。
 計画年休で付与できる日数は、年休を付与された日数の5日を超える日数となっており、5日間は従業員が自由に使える日数を残す必要があります。例えば年11日年休を付与される従業員は6日は計画的年休を定めることが可能です。
 年休の計画的付与は、全社で一斉に行う必要はなく、労使協定で定めることにより部署別、個人別に行うことが可能です。
 なお、事業場全体の休業による一斉付与の場合には、年休がない(または少ない)従業員の取扱いが問題となります。この場合、それらの労働者について①特別の年休を与える、②(日数が少ない場合は)年次有給休暇の日数を増加するなどの措置を講じたうえで他の労働者と同様に休ませることが考えられます。もし、そのような特別の措置をしないで当該労働者を他の労働者と同じように休ませる場合には、少なくとも労働基準法第26条の規定による休業手当の支払いが必要となりますので、注意が必要です。
 また、年休を時間単位で付与する制度がある事業所の場合、計画的年休を時間単位で付与することはできません。
 その他、年休の計画的付与の導入について不明点等あれば弊所までお問合せください。

雨上がりで
水車がまわっていました

【2024年6月14日】

ーNo.42 労働者災害補償保険法

労災保険は正式名称を「労働者災害補償保険法」といい、従業員が業務や通勤により被った災害(病気、けが、障害、死亡など)に対し、保険給付を⾏う制度です。従業員や遺族を保護することを⽬的としているため、事業主や役員など従業員以外の者は原則として対象外です。
しかし、建設現場の作業やレストランの厨房などでは、事業主等が従業員と同様の業務を⾏うことも珍しくありません。こうしたときの災害の発⽣リスクは従業員と変わらないため、⼀定の要件を満たす場合は、事業主等についても特別に労災保険への加⼊が認められています。これを特別加⼊制度といいます。
なお、労災の特別加入の対象区分として①中小事業主等、②一人親方等、③特定作業従事者等、④海外派遣者がありますが、今回は①中小事業主等に絞ってお話しします。
 特別加入できる中小事業主等と認められる事業規模としては、小売業などは50名以下、サービス業は100名以下となっており、そこで勤務する事業主や役員が加入できます。
 特別加入のメリットとデメリットですが、メリットとしては、業務または通勤による災害を受けたときに補償が受けられます。業務や通勤が原因で病気やけがをした場合、治療費などを負担する必要がありません。さらに、治療や療養で働けなくなったときは、その期間の⽣活の安定を図るための給付⾦が⽀給されます。このほか、障害が残ったときの給付や、死亡したときの遺族への給付などもあります。
逆にデメリットとしては、会費や⼿数料などの費⽤が発⽣します。特別加⼊は、労働保険の事務処理を⾏う労働保険事務組合等を通じて加⼊しなければなりません。加⼊先で定められた費⽤(⼊会⾦や会費、委託⼿数料など)を負担する必要があります。また、業務上の災害がすべて補償の対象とはなりません。特別加⼊は従業員に準じて保護される制度です。業務中の災害は、従業員と同様の業務を⾏っていた場合に補償対象となります。そのため、事業主の⽴場で⾏う事業主本来の業務を⾏っていたときの災害については補償されません。例えば銀行へ融資の相談に行った際のケガなどが該当します。
特別加⼊制度に加⼊して万が⼀に備えることは、働く中⼩事業主等や⼀⼈親⽅等だけでなく家族にとっても安⼼感を与えられます。メリットとデメリットを前もって理解したうえで、加⼊の検討をしてください。

 

事務所から近くの散歩道

水辺にゴイサギがいました

【2024年5月30日】

ーNo.41 業務中にケガし健康保険証で治療を受けた場合の対応

業務中にケガしてしまい健康保険証で治療を受けたがどうしたら良いかとの相談が時折あります。
業務災害や通勤災害が原因の傷病の治療に健康保険証を使っているときは、労災保険に切り替えが必要です。健康保険は、あくまでも私傷病のとき利用できるため、業務災害や通勤災害には利用できません。ケガして病院に行った際、習慣として健康保険証を提示し治療を受けてしまうこともあると思います。その際は、早めに治療を受けた病院に連絡し、対応を相談してください。

労災保険へ切り替える場合、業務災害のときは「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書 業務災害用・複数業務要因災害用(様式第5号)」、通勤災害のときは「療養給付たる療養の給付請求書 通勤災害用(様式第16号の3)」の書類を作成し、病院の窓口へ提出が必要です。請求書は厚労省HP等からダウンロードできますが、不明点があれば顧問の社労士にご相談ください。

すでに健康保険証で治療を受けたときは、医療機関によっては遡及して切り替えができないこともあります。
そのときは、協会けんぽより健康保険証を使用した医療費(7割)が請求されます。
請求された7割を協会けんぽに支払後(一旦全額支払った後)、業務災害のときは「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書 業務災害用・複数業務要因災害用(様式第7号(1))」、通勤災害のときは「療養給付たる療養の費用請求書 通勤災害用(様式第16号の5(1))」の書類を管轄の労働基準監督署へ申請することで、支払った額が返還されます。
医療費の領収書など申請時に添付書類が必要になりますので大切に保管ください。

なお、経済的な理由などで協会けんぽへの医療費(7割)の支払が難しいときは、管轄の労働基準監督へご相談ください。
協会けんぽ以外の保険者(国民健康保険、健康保険組合など)については、加入されている保険者へ確認をしてください。

新緑がきれいです

【2024年5月14日】

ーNo.40 雇用保険法の改正

改正雇用保険法が5月10日の参議院本会議にて可決、成立しました。今回の改正では、主にパートタイマーの加入条件の緩和による適用拡大、教育訓練給付の改正などが柱になっています。

雇用保険の適用拡大では、現在、雇用保険の被保険者となるためには①31日以上継続して雇用されることが見込まれ、②週の所定労働時間が20時間以上、であることが条件となっていますが、②の20時間以上を10時間に変更することになりました。
これにより、これまで以上に多くの方が雇用保険の被保険者となることとなり、新聞報道では新たに500万人が加入することになるようです。なお、適用拡大は令和10年10月1日から開始となりますので、実際は少々先となります。
雇用保険の適用拡大に伴い、企業の手続き業務が増える可能性があります。特にパートタイマーが多く働く飲食業や介護、サービス業では採用すれば雇用保険の適用対象となることが多いと思われ(但し、掛け持ちで勤務する場合は、より勤務時間の長い事業所で加入)、手続き業務が増えます。
また雇用保険料率は現在、自己負担分で6/1000、事業主負担で9.5/1000のため、月に5万円程度のパートタイマーで事業主負担は475円(年間5,700円)となります。

教育訓練給付金制度については、専門実践教育訓練の支給上限割合が100分の80(現状は70)に引き上げられます。この施行は今年の10月からとなります。それ以外に新たに「教育訓練休暇給付金」が創設されました。これは自発的に休暇を取得して教育訓練を受ける場合に、その休暇中の賃金の一部を基本手当で給付する制度です。休暇開始日から1年間を上限に、基本手当と同額を所定給付日数相当分を支給します。所定給付日数は被保険者期間によって90日、120日、150日のいずれかとなります。

その他、育児休業給付についても変更(令和7年4月1日施行)がありますが、これはまた別の機会にご説明します。

【2024年4月15日】

ーNo.39 人事評価制度の導入を検討しませんか

評価制度を導入したいとの相談を受ける機会が増えてきました。私自身は会社の創業期や従業員が10名以内くらいであれば、従業員の普段の取り組みなどについて経営者の目が届く訳ですし、無理に評価制度を導入しなくても良いのではないかと考えますし、顧問先にもそのようにお伝えしています。
自分の感性で評価し賃金を支給するのは(特に最初の頃は)経営者の醍醐味ですし、経営者として部下と接する中での判断は案外と合っているものだと思います。
ただ会社の成長と共に従業員数や営業拠点が増えると全ての従業員の活動に目が行き届くのに限界もあります。また社員育成を経営者でない他の部下に任せるとなると、やはり何かの物差しを持って指導しないと不公平感に繋がったり、継続した指導ができなかったりします。部下面談をしてもその場限りとなったり、思い付き的な指導になってしまうこともあります。

そうなると何かしらの基準(物差し)を用意する必要があり、それが人事評価制度となります。評価制度を設けることにより、①経営者の考えが共有化されやすい、②会社が従業員に求める基準(価値や行動基準など)が明確となる、③継続した指導や成長支援の基準となり、従業員の納得感を得やすくなる、④昇給や賞与評価の基準とすることで公平な処遇に繋がる等の効果が期待できます。もちろん評価制度を設け評価する上で恣意的(好き嫌いな)評価をすれば意味はありませんが、これは別な問題なので割愛します。また賃金制度とリンクするかは検討が必要で、直ぐにリンクさせなくてもよい場合もあるように感じています(そもそも賃金制度が粗削りだったりした場合など)。

弊所ではビジネスカードを使って評価制度の作成をご支援しています。作成は経営者だけでなく幹部の方にも参画いただきます。その方が作成後の納得感が高まる(社長が勝手に作ったとならない)と考えるためです。ビジネスカードを使うことで議論に入り易くなることや比較的短期間での作成が可能になるとのメリットがあると感じています。それでも月に1回2時間程度の打合せを4~6回程度行い、約半年かけて完成を目指します。
ご興味があればお声がけください。

梅の花が咲き始めていました

【2024年3月15日】

-No.38 令和6年度介護職員等処遇改善加算

介護や障害福祉サービス事業所で勤務する労働者の賃金を引き上げるために平成24年から処遇改善加算制度がはじまり、今や介護・障害事業者にとってなくてはならない制度として定着しています。
詳しい制度の説明は省略しますが、度重なる改正や新たな加算制度(特定処遇改善加算やベースアップ等支援加算)の創設により処遇改善加算を取得するための計画書や実績報告書の作成は複雑となり、特に事務専門部署のない小規模事業者にとっては制度に沿った書類の作成に苦慮するのが現実だったと思います。弊所にも自事業所では提出書類の作成が難しいので相談に乗って欲しいとの連絡があります。

令和6年度は書類の簡素化を図るため6月から現在3種類ある処遇改善加算制度が一本化し「介護職員等処遇改善加算」となり、書類の作成も簡素化されることになっています。
処遇改善制度は年度単位で申請することが必要なため、当初は4月・5月は従前どおりのやり方で計画書を提出し、6月以降に再度一本化された計画書を提出するものと思っていました。

今月に入り、令和6年度の処遇改善加算制度に関し書式や考え方などが厚生労働省から示され、5月まで分と6月以降を別々に作ることなく4月から一本化した計画書を作成することになりました。計画書も記載項目が減って簡素化されています。

それ自体は手間も減って喜ばしいのですが、制度の移行期ということもありかなり処遇改善加算を取得(算定)する要件が分かり難くなっているように感じます。特に令和6年度の途中(6月)から始まるため、令和7年から適用される要件があったり、令和6年度中に賃金規程の改訂等行えば良かったりして現場は混乱するように思います。特に令和7年度の賃上げ原資の一部を令和6年度の加算に前倒しして措置することが可能になるようで、従前は年度内に加算額を使い切る制度だったため書類の作成担当者を悩ませることになりそうです。

現在3月14日ですが、まだ東京都などの指定権者から提出する計画書等のファイルは示されていません。処遇改善計画書の提出期限は4月15日まで(6月15日までは修正可能)となっていますが、4月15日までに提出が必要であることに変わりありません、また2月からはじまっている支援補助金(介護)、臨時特例交付金(障害)の提出についても都道府県からの案内が未だ行われておらず、年度末にかけて混乱が予想されます。

介護職員処遇改善加算についてご不明な点などあればご相談ください。

雪が少し残っていました

【2024年2月8日】

-No.37 休業手当の支払いについて

今月の5日に東京都内でも雪が降り、大雪警報も発令されました。多摩地区では積雪が10センチを超えるとの報道もありましたが、夜遅くに雨が降ったようでそれほど積もることもありませんでした。
大雪だけでなく、台風などでも従業員の安全を考えて休業させることがあります。その際に休業手当の支払いが必要か質問が度々あります。
大雪や台風などの理由により企業の判断で従業員に休むよう指示したときは原則として休業手当の支払いが必要です。
理由としては、実際に交通機関が利用できて従業員が業務を行える状態であれば、今後交通機関に影響が出る可能性があったり、従業員の安全を考慮した上での判断であっても、会社都合の休業になるためです。

ただし、以下のときは会社都合の休業とはならないため、休業手当の支払いは不要です。
①本人の判断により、出社しなかった 。
【例】台風による交通網の麻痺や通信回線のパンクが起き、会社と連絡が取れないので自主的に家に居ることにした。 
②自然災害で出社できなかった。
【例】台風・豪雨による浸水のため、会社まで行ける状態ではなかった。
③企業が業務を行えるような状態ではなかった。
【例】地震により建物の倒壊や器物破損などがあり、出社しても仕事ができる状態ではなかった。

これらのケースでは、ノーワークノーペイの原則に従い、働いていない時間に対して従業員への賃金補償(休業手当支払い)の義務はありません。

なお休業手当の件ではありませんが、先日の大雪により通勤途中で負傷した場合、通常の通勤経路上の負傷であれば労災保険の対象となる可能性があります。従業員から連絡があったら顧問社労士等にご相談ください。

高幡不動尊へ  初詣

破魔矢

【2024年1月12日】

-No.36 労働条件通知書の見直しについて

企業は、従業員との労働契約の締結時や更新時には、法令等で定められた労働条件を従業員に明⽰しなければならず、これをしなかった場合には罰⾦が科せられることがあります。
改正により2024年4⽉から労働条件通知書の記載項⽬を⾒直す必要があります。

労働条件通知書とは、労働契約の締結時や更新時に従業員に交付する、賃⾦や労働時間などの法令等で定められた労働条件を記載した書類です(労働条件通知書兼雇用契約書としている企業もあります。)。正社員やアルバイトなどの名称にかかわらず、全ての従業員が交付対象で、原則書面で交付しますが、従業員が希望した際はFAXやメールでも交付可能です。
2024年4⽉から、明⽰しなければならない労働条件の項⽬に以下が追加されます。
1.就業場所・業務の変更の範囲
働く場所や業務内容だけではなく、将来的に変更の可能性がある範囲を明⽰する必要があります。転勤や配置換えがある企業は注意が必要です。
2.更新上限の明⽰(有期契約労働者の場合のみ)
有期契約労働者との労働契約の締結時と更新時に、有期労働契約の通算期間または有期労働契約を更新できる回数に上限がある場合については、その内容の明⽰が必要になります。
3.無期転換申込機会の明⽰(有期契約労働者の場合のみ)
無期転換申込権が発⽣する更新のたびに、希望をすれば無期労働契約へ変更できる旨について明⽰する必要があります。
4.無期転換後の労働条件の明⽰(有期契約労働者の場合のみ)
無期転換申込権が発⽣する更新のたびに、無期労働契約へ変更した後の労働条件について明⽰する必要があります。ここで明⽰する必要のある労働条件は、通常明⽰する必要のある項⽬と同様です。
以上の4項⽬はいずれも書⾯での明⽰が必要となる項⽬です。法改正前に労働条件通知書のつくり直しをおすすめします。

労働条件の明⽰および労働条件通知書の交付は、従業員との労働契約の締結時や更新時に必ず⾏う⼤切な⼿続です。
労働条件はなるべく書⾯で確認できる⽅がよく、契約内容を明確にすることは、労使間のトラブル防⽌にも繋がります。
また、労働条件通知書を作成するときには、就業規則との関係を念頭に置く必要があります。
労働条件通知書に記載した労働条件が、就業規則に定めた労働条件より下回る場合、労働条件通知書の内容は無効となり、就業規則の内容が優先されます(労働条件通知書の労働条件が就業規則の労働条件を上回る場合は、労働条件通知書の内容が優先されます)。
労働条件通知書を作成する際は、必ず就業規則の内容と⾒⽐べることをおすすめします。
上記について不明点があればお問い合わせください。

 紅葉がきれいです

【2023年12月12日】

-No.35 キャリアアップ助成金「正社員化コース」の拡充

 11月末にキャリアアップ助成金「正社員化コース」の内容が一部改訂されましたのでご案内します。
 キャリアアップ助成金は非正規社員(主に有期雇用労働者)の雇用環境を改善した際に受給できる助成金で、その中の一つである「正社員化コース」は有期雇用労働者を正社員に転換することにより助成を受けることが可能です。
 対象となる事業所および労働者については、厚労省HPなどをご参照ください。

 改定内容は以下の4つで、11月29日以降に正社員転換した場合に適用されます。
 https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001172971.pdf

(1)助成額の見直し
  従前、中小企業が正社員転換した場合:57万円
  それが拡充されて、80万円となりました。
  今までは正社員に転換して6か月後に支給申請でしたが、6か月後、12か月後に2回申請することになります
 (40万円×2回で80万円)。
(2)対象となる有期雇用労働者の要件緩和
  従前は有期雇用労働者の期間は6か月以上3年以内でしたが、6か月以上に緩和され「3年以内」の上限が
 なくなりました。
  なお、それに伴い有期雇用が5年を超え無期転換している場合は、40万円(20万円×2回)の助成と
 なります。
(3)正社員転換制度を新たに設け、正社員転換した場合の加算
  20万円の加算となります。よって初めて正社員化コースを利用する場合、100万円(80万円+20万円)の
 助成となります。
(4)多様な正社員制度規程に関する加算
  勤務地限定、職務限定、短時間正社員制度を新たに規定し、正社員に転換した場合、40万円が加算と
 なり、(1)に合わせて120万円の助成となります。
  特に中小企業の場合、他の正社員同様の勤務時間は難しいものの正社員となり長期雇用したい
 非正規労働者 (主に女性)がいれば検討しても良いと考えます。

 上記により、正社員化コースの利用を検討する事業所が増えることが予想されます。
 なお、助成金は各種条件がありますので、申請に際しては労働局または社労士にご相談ください。

高幡不動尊 菊まつり

 【2023年11月1日】

-No.34 BCP(業務継続計画)

 介護や障害福祉事業所では来年4月(令和6年4月)から「自然災害発生時」と「感染症発生時」の事業継続計画(いわゆるBCP)の作成が義務化されています。現状、行政の監査等の際にはBCPの作成状況などヒアリングを受けることも増えているようです。義務化まで半年を切り、弊所でも顧問先等からBCP作成の相談や支援依頼が増えてきました。

 東日本大震災や新型コロナウィルスの蔓延により経済活動が停滞した際でも介護や障害福祉サービスは継続することが求められます。しかも高齢者や障碍者の安全・健康を守りながらの対応となりますので、場当たり的な対応ではなくしっかりと事前に計画を立て、普段の訓練等が必要になってきます。
 作成義務化というと完璧なものを作成する必要があると考え、身構える事業所もありますが、大切なことは現場の状況を把握し、できていないことは改善に取り組むことです。最初から完璧なものを求めると、途中で作成がとん挫してしまうこともあります。自然災害でも感染症対策でも予測不可能なことですし、先ずは作成して、年々改善や見直し、BCP内容のブラッシュアップを図れば良いと考えます。

 BCPは社労士が勝手に作って納品という訳にはいきません。その分、早期の着手が必要です。厚労省HPにはひな形も掲載されていますが、これだけだと何から着手して良いか悩むと思います。まだ作成していない事業所は先ずは期限を決めて着手してみてください。

厚生労働省BCP作成支援に関する研修サイト
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html

【2023年10月3日】

-No.33 年収の壁問題

 先日岸田首相が公表しました経済対策に盛り込まれました所謂「年収の壁問題」について。

 なお、年収の壁とは、年収106万円または130万円を超えると社会保険の負担が発生し、結果手取り額が減るため、その前に働き控えすることで、働きたい労働者(主にパートタイマー)だけでなく、もっと働いてほしいと考える事業主にとっても悩ましい問題と言えます。

 経済対策では、年収106万円の壁対策として、106万円を超えて働き社会保険の負担が発生したことによって手取り分が減り事業主が負担した場合、上限はあるものの助成金で補填するというもの。また、130万円の壁は、配偶者からの扶養から外れて自ら社会保険に加入する必要がありますが、一時的に130万円を超えているのであれば、事業主がそれを証明することによって扶養から外れないようにするというもの。106万円も130万円の壁対策も2年間の時限措置とされています。

 年収の壁問題は以前から指摘されていたことであり、詰まるところ専業主婦が当然とされていた時代の扶養制度を共稼ぎが当たり前になったこの時代にどのように変えるかって話だと思います。そう考えると場当たり的であり、将来展望のない制度のように感じてしまいます。

 今回の年収の壁対策ですが、2年間の時限措置であり、10月からスタートなのに未だ細部が発表されていません(9月末現在)。

 今回の対策に対応するためには、システムの改修や賃金規程の改定、対象人数が多い会社では担当者向けの研修など行う必要があるかもしれません。2年間の時限措置なので、2年経ったら、元に戻るのですかね?

 また会社が収入減分を補填した場合、これって割増賃金や労働保険の対象になるのか、国が補填する期間が終了した後はどうするのか(支給を止めると不利益変更?)などが未定となっています。

 これから詳細は厚労省などから公表されるでしょうが、早期の公表が待たれます。

 当事務所でも新たな情報があれば顧問先様に発信することにしています。

小田原城

【2023年9月4日】

-No.32 パワハラ&アンガーマネジメントセミナーを終えて

 8月31日にかながわ労働センター湘南支社が主催するセミナーが小田原市であり、パワハラ対策とアンガーマネジメントをテーマに2時間お話しする機会をいただきました。
 昨年別な研修機関で同類の内容でお話しした際に受講された方が、かながわ労働センターの事務方にいらっしゃたようで、その縁でご依頼いただきました。当時はwebセミナーでしたので、どこまで伝わったか心配でしたが、こうしてご依頼いただきとても嬉しく光栄です。
 31日は15時開始でしたので、少し早めに小田原駅に着き折角なので小田原城を見てから会場へ。神奈川県出身ですが、小田原城をリアルで見たのは多分初めてです。

 セミナーは約40名程度の受講者とかながわ労働センターの各支社の担当者が10名程でした。
 最初に1時間程パワハラ対策の話しをして、休憩10分を挟んで50分程度アンガーマネジメントをご紹介しました。パワハラはまだいいのですが、アンガーマネジメントを50分で紹介するのは結構難しいです。どうしても一方通行になってしまうので(事務方から周りの方とシェア等は避けた方がとの助言も)、どこまで伝わったかやはり心配になりますが、これを機会にアンガーマネジメントについて興味を持っていただけたら嬉しいです。パワハラではパワハラ指針を実施する上での留意点と自分自身が相談を受けた事例などを守秘義務の範囲内でご紹介したり、普段マネジメントをする上で感じすることをお伝えしました。

 時間ぴったりに17時に終了し、質問を受ける時間がないので、質問等ある方は声をかけてくださいとお伝えしたところ、10社程度の受講者が私のところまで来てくれて名刺交換や質問などしてくださいました。事務方曰く、名刺交換の列では過去一番とのことです(有難いことです)。

 来られた方の多くは、パワハラ対応について、どのように社内で研修を開催したり、パワハラを起こさせないような組織風土を作るかとの相談でした。いろいろと話しをお聞きして感じたことは、パワハラ防止が措置義務になった昨年4月前後に多くの担当者が研修を受講されたりしたと思います。当時はどうしても法律論やパワハラ指針、訴訟事例の解説になりがちではないでしょうか。それはそれで大切な知識であり、知っておくべきことですが、特に訴訟事例はパワハラが発生した後の話しですし、そもそもパワハラは発生しない組織作りについて悩んでいる現場担当者は多いように感じます。社労士は一般企業での勤務経験のある方も多いですし、予防法務の観点からお伝えできることもたくさんあるように思います。改めて社労士が現場目線でお話しすることの大切さを、講師を通して学ばせていただいたように感じています。

 

【2023年8月7日】

-No.31 ビッグモーターに思う

 近頃は毎日ニュースなどで見る中古車販売大手のビッグモーター(以下BM)による不正事件。意図的に修理車を傷をつけて修理費を水増し請求したり、保険金の不正請求や店舗前の道路の木々を勝手に伐採したり、パワハラ的な指導(社風)。。。他にも未だ指摘されていない不正が今後明らかになりそうです。
 私自身はこのニュース、それほど詳しくないので(yahooニュース程度の知識)詳細はよく分からないのですが、先週末にBM営業所前を通った際、確かにお客さんは誰もいませんでした。流石に余程のもの好きかコメント欲しさのyoutuber以外、お店を利用する気にもならないように思います。そう思うと、BMで働く多くの?真面目な従業員さんが可哀そうでもあります。真面目な社員さん程、朝起きて会社に行くのも憂鬱になるでしょう。そう思うとどれだけ不正に関与した社員がいるのか分かりませんが、それ以外の方が不憫であり、そのような想いをさせてしまった経営陣はそれだけでも切腹ものだと思います(実際は雲隠れのようですが)。

 BMは昭和51年に山口県岩国市で現会長が個人事業として創業したのがスタート。その後、法人化、多店舗展開等をとおし現在に繋がります。会社が成長するにあたり、推察レベルですが「お客様第一」とか「お客様に貢献」とかを社是なり会社のビジョンとして掲げたのだと思います。そうでなければ、今の規模まで会社を拡大、躍進させることなどできないはず。
 しかしどこかで会社のビジョン、社是などが形骸化して会社の中心となる幹部にこれらの考えが正しく継承されることなく、お客を騙し不正でお金を稼ぐことを「善」とする雰囲気になってしまったようです。そして自社が正しいと捉え、公共財である道路の木々さえ勝手に伐採してしまう倫理感の欠如。いかに会社の柱である社是やビジョンが社員に浸透し、行動にまで繋げることが難しいかがこの案件で分かる気がします。
 BMの問題を単なるニュースやワイドショー的に見るのではなく、自社でも同じことはないとは言え、経営者の理念や創業の想いを社員に伝え行動にまで落とし込めているか確認したいものです。

【2023年7月19日】

-No.30 LGBTとハラスメント

 2019年に施行された「労働施策総合推進法」では職場のパワーハラスメント対策への取り組みが事業主の責務となっています。パワハラは「優位的な関係性を背景に、職務上の必要性を越えて行う行為によって個人の尊厳が害されたり就業環境が乱されるもの」であり、その一つとして個人のプライバシーに過度に立ち入ることは「個の侵害」でありパワハラと位置付けられ、「個の侵害」には性的指向や性自認への侮辱的な言動も含まれています。
 性的指向(嗜好ではない)とは自分の恋愛や性愛の対象が向く性別のこと、性自認とは自分の性別をどのように認識するかと言え、性的マイノリティ(少数派)を表す表現でもある「LGBT」とはL(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(トランスジェンダー)を差し、LGBは性的指向、Tは性自認となります。ただ実際は性的マイノリティと言っても、全てLGBTに該当する訳でもないため、「LGBTQ」などと表現することも多いです。また性的指向や性自認を総称して「SOGI(ソジ)」と呼ぶこともあります。

 個人が持つ性的指向や性自認は、基本的人権に係わるものであり当然のものとして保護・尊重されるべきものですが、自己の男女観や少数派への偏見、誤解などから(自覚しているか別にして)性的マイノリティの方への差別的な言動をしてしまうことがあります(これをSOGIハラと言うこともあります)。特に40代以降の方は、テレビで性的マイノリティの方をお笑いネタとして視聴していた習慣があるため注意が必要に思います。
 性的マイノリティに該当する方は統計的には5%から8%程度いるものとされています。ただ周りに知られることにより働きにくくなるのではないか、差別を受けるのではないかと考え、カミングアウトしていない方も相当数存在しているものと思われます。カミングアウトしている方がいないから職場に性的マイノリティの方がいないと思わず、言えない環境にあると考え、普段の発言など気を付けることは大切なことです。また自分自身は性的マイノリティでなくとも、人間の尊厳を傷つけるような発言を若い世代は嫌がります(呑み会時のネタとしても)。仕方なく笑っていても「人を傷つけて笑いを取るような上司の下では働きたくないな~」と思う若い社員は多いのではないでしょうか。
 SOGIハラを起こさせないためには、先ずはトップが人権意識を持つことと社員への研修等が必要です。人手不足、採用難の時代となり、社員一人一人が安心して継続して働ける職場づくりが益々必要になっていると感じます。

蓮の蕾がありました

【2023年7月4日】

-No.29 両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)

 家族の介護や看護を理由に離職する労働者が増えてきています。特に高年齢化の進展により家族の介護を40歳以降の働き盛りの労働者が担うことが多くなり、結果、職場で重職にある働き盛りな労働者の離職が増えることは会社の生産性の低下に繋がるだけでなく、労働者側でも収入の減少に直結します。介護ニーズは十人十色であり、介護は突発的に発生することも多く、複雑な制度を理解し活用するのは一部の専門的な知識がある方は別にしてなかなか難しいものと言えます。
 両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)は、介護休業制度を活用して介護・看護する労働者を支援する会社を助成するものです。

 助成金の利用にあたっては、「介護支援プラン」を作成し、介護休業する労働者の引継ぎ等の計画を決め、労働者が安心して休業できる環境を作る必要があります。助成金申請にあたっては、5日以上の介護休業(所定労働日の休業)の取得が必要です。また原則として現職への復帰が前提であり、休業したことによる賃金の低下などは認められないことになっています。

 この助成金を活用するためには事前に職員に自社の介護休業制度等を周知しておくことが大切です。介護は急に発生することが多く、休業が発生してから就業規則等を整備しては助成金の対象とならない可能性があります。特に一定の年齢の職員に対して、介護休業制度を説明しておくことは、単に助成金を受給するだけでなく、労働者が安心して勤務できる環境づくりにもなります。親族の介護が発生し、周りに相談できず抱え込んでしまい、十分な検討なく退職とならないよう普段から会社として情報発信することも大切だと考えます。

 蛇足ですが、介護休業(最大93日まで取得可能)は労働者自らが介護するための休業ではなく、行政機関等と連携して介護する環境を整える期間とされています(ケアマネとの打合せ、施設への入所準備等)。

両立支援等助成金のチラシはこちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/001082093.pdf

その他、ご不明点がありましたらお問い合わせください。

高幡不動尊で
あじさい祭りが始まりました

【2023年6月15日】

-No.28 社労士業務システムのランサムウェア感染について

 社労士事務所向け業務システム大手である株式会社エムケイシステムが提供するクラウドシステムがランサムウェアに感染し、社労事務所の業務がストップしてしまうトラブルが先週発生しました。現状、ランサムウェアに感染したことに伴う社労士事務所およびその顧問先である事業所の個人情報等が外部に漏洩・流出したとの情報はありませんが、株式会社エムケイシステムを利用する社労事務所および顧問先事業所は、個人情報保護法の定めに従い、個人情報保護委員会に報告が必要となっています。また今後、株式会社エムケイシステムの調査により個人情報の漏洩が発生していた場合には、従業員等への説明が必要になる可能性もあり、事態の推移を見守る必要があります。
 なお、弊所は上記に該当するシステムは導入しておりません。

 ランサムウェアは中小企業でも感染する事例が相次いでおり、株式会社エムケイシステムの感染は他人事と言えないと考えます。弊所でも顧問先事業所等の個人情報など重要なデータをお預かりする以上、事務所としてできる限りのウィルス対策を行って参ります。
 現在の弊所でのデータ保管ですが、公文書を含めたデータは2か所(2社)のクラウドデータセンターにそれぞれ保管し、併せて業務システムの入力データは、外部のメディアに原則毎日バックアップを取るようにしています。
 また事務所では職員含め専用PCを利用(私物PCの利用は禁止)し、それぞれウィルス対策ソフトを使いウィルス対策を行っています。

 ウィルス対策は「これで充分」ということはなく、絶えずの取り組みが不可欠です。貴社でもウィルス対策について、どのように取り組んでいるか見直ししてみることをお勧めいたします。

 ランサムウェアとその対策については独立行政法人情報処理推進機構に特設ページが設けられています。ご興味あればご確認ください。

 https://www.ipa.go.jp/security/anshin/measures/ransom_tokusetsu.html

パワハラ予防カードや、承認カード等
カードを使用した研修も行っております。

【2023年5月30日】

-No.27 企業内研修

 新型コロナウィルスが今月8日より5類感染症に引き下げられました。電車に乗ってもマスクを着用する方は格段に減り、街を歩けば外国人観光客も増え、すっかりコロナ前に戻った感がします。
  コロナ禍では、集合研修などリアルで対面する場を設けることが困難となり、webを使った研修が中心でした。しかし知識習得型の研修はともかく、対面で行うコミュニケーションや相互理解を図るような研修は、組織を活性化させ、また職員の相互理解を促し、結果、定着率ややりがいを高めることにも繋がりますし、リアルでの研修を検討する企業も増えてきたように感じます。
 まだまだ継続して感染症対策を施す必要はあるものの、長らくリアルで開催できなかった社内での研修を開催しては如何でしょうか。どの業種でも人手不足が指摘されています。職員の定着を図るためには、職員相互の理解や良好なコミュニケーションが取れる関係性作りが必要であり、その取組みとして研修の開催はとても有効です。
弊所でも様々な研修メニューを用意し研修開催をご支援しております。

【主な研修メニュー】
・新入職員、幹部職員向け労務研修
(就業規則や育児介護制度の理解など)
・カードを使った各種コミュニケーション研修
・ハラスメント防止研修
・アンガーマネジメント研修
・接遇やマナー研修 など
なお、接遇やマナー研修は外部の専門家と連携して開催しています。
人数や開催時期、費用などはお気軽にご相談ください。

新緑がきれいです

【2023年4月28日】

-No.26 令和5年度の助成金

 令和5年度に入り、厚生労働省所管の助成金に関するご相談も増えてきました。今年度は、新たな助成金はほぼないようですが、改訂された助成金も多くなっています。助成金は国の施策をお金(助成金)で後押しするものとなっており、今年度は特にリスキリング(学び直し)に伴う社員のスキルアップや介護理由による離職防止、男性の育児休業の取得支援などの助成金の改訂が行われています。
 コロナによる経済活動の停滞もほぼ終わりましたが、その分、多くの業種で人の確保が難しくなっており、従業員の定着のための取組は不可欠と言えます。介護や育児による離職を防止するためにも、何かあれば会社に相談するよう普段から情報発信を行うこと、関連する法律の理解と必要な社内制度の整備をすること、会社と社員とのコミュニケーションを充実させることは単に助成金を取得するだけでなく組織運営の面からも大切なことと言えます。
 その上で介護や育児で悩んでいる社員がいれば助成金も活用しつつ支援されては如何でしょうか。
 なお、助成金は取得まで一定の時間が必要で長いものでは2年以上かかるものがあります。また折々期限が設けられており、その期限内に書類を提出することが必須で、一日でも期限を過ぎれば申請が認められないようになっています。助成金の活用を検討の際は、先ずは早めに社会保険労務士やハローワーク等にご相談し、必要な申請の準備に着手することが必要と考えます。

春の訪れを感じます

【2023年3月6日】

-No.25 令和5年度処遇改善加算の様式変更

 3月1日に厚生労働省老健局通知が発出され、令和5年度以降の処遇改善加算等の考え方や計画書、実績報告書等が公表されました。以前より令和5年度は様式が改定(簡素化)され、2月下旬に公表するとのことでしたので、どのようなことになるか楽しみにしていました。書式が簡素化されるとのことなので、事務負担の軽減に繋がることを期待して。
 結局、2月中に様式は公表されず3月1日に通知が発出。処遇改善加算の支援に取り組む社労士諸先輩方が早速ご自身のフェイスブック等で一報をアップしていただいてお蔭で、その日のうちに顧問先にメールにて情報発信することができました。なお、今回は老健局からの発出なので、介護事業所が対象となります。障害福祉サービス事業所は未だ情報が出てはいませんが(3月5日現在)、様式そのものは同じになると思われます。
 計画書を見ると確かに記載項目は減っていますが、処遇改善加算は相変わらず3階建て(処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算)のままですし、加算の算定要件にも変更はありません。そうなると結局のところ、計画書を作成するにあたってやることに大きな違いはないなって感じがしています。単に計画書への記載がなくなり、その分、事業主が内容について誓約することになっただけで、指定権者の監査等があった際には計画書の作成元になる数値を示すことになりますので、気を抜いて適当に作成すると万が一監査があった際に痛いペナルティーを払うことに繋がりかねません。
 なお、令和5年度も計画書の提出期限は、4月または5月から加算をうける事業者の場合、4月15日までに指定権者に提出する必要があります。気を付けないといけないのは、介護事業者で新規で加算を取得する場合、指定権者に計画書を提出するのとは別に加算届の提出が必要なこと。こちらは提出期限が4月15日でない場合があるので注意しないといけないですね。
 弊所でも多くの事業者の処遇改善計画書を提出代行します。これから約1か月ちょっと、忙しい時期が始まります。

介護職員処遇改善加算支援について  
詳細はこちらへ

高幡不動尊で3年ぶりに
豆まきが行われました

【2023年2月9日】

-No.24 助成金の不正受給

  近頃、毎日のように雇用調整助成金(および緊急雇用安定助成金など)の不正受給に関するニュースを目にします。しかも社労士が不正受給に加担したとの報道も。
 雇用調整助成金の不正受給では、休業していないにも関わらず休業していたと虚偽の出勤簿等を作成して助成金を申請したケースが散見されます。なお、休業なので、在宅でテレワークしていたことは休業にはなりません。安易な気持ちでテレワークさせつつ助成金を申請すると不正受給となる可能性があります。また悪質なケースでは従業員が出勤しているにも関わらず、タイムカードを打刻させず欠勤扱いにして助成金を申請することもあるようです。新型コロナウィルスで社会活動がストップするような混乱期でしたし、雇用調整助成金もとにかく細かな内容の精査はせずに支給しようとのスタンスでしたので、申請すれば貰える状態でした。打ち出の小づちではないですが、申請すればほぼ貰える訳ですから不正受給しようと思う経営者(担当者)がいてもおかしくないですし、当初よりこのようなことになるのは目に見えていたように感じます。

 雇用調整助成金に関わらず、助成金を不正に受給した場合ですが、以下の罰則があります。
 ①不正受給した額の返還
 ②不正受給した額の2割の額の返還
 ③不正受給した日の翌日から3%の延滞金の支払い
 ④会社名等の公表(ただし期日までに①~③を支払うと公表されないことも)
 ⑤5年間助成金は申請不可
 不正受給に加担した社労士は氏名等の公表もあり、また他の助成金申請に関わっているとそれらも調査されます。 

 助成金は原則5年以内に労働局の調査があると言われています。雇用調整助成金の申請はそれこそ何万件もの申請がありますので、どれだけ調査ができるか分かりませんが、労働局も会計検査院や世論の声もあって、不正受給の摘発に力を入れています。また不正受給は内部告発で発覚するケースも多いと言われています。会社を退職する際に(特に円満退職でない場合に)労働局に通報するケースなどです。

 不正は必ずバレます。くれぐれも邪な気持ちを持たないように。また社労士としても襟を正して取り組むことが大切ですね。

梅が咲き始めていました

 

【2023年1月27日】

-No.23 処遇改善加算計画書と実績報告書の様式の簡素化案

  令和5年1月16日に開催された厚生労働省介護給付費分科会にて介護職員処遇改善加算の計画書と実績報告書の様式について簡素化する議論が進んでいます。報道によれば令和5年度計画書から簡素化となった計画書となる見込みです(新様式は2月中に発出予定)。なお、令和5年度の計画書は昨年同様、4月および5月から加算を算定するためには4月15日までに指定権者に提出する必要があります(障害福祉事業所も同様)。また、様式が簡素化されるだけで、現在3つある加算が統一される訳でも、キャリアパス要件が見直される訳でもないようです。
 改善事項1 計画書における前年度と今年度の賃金額比較の省略→前年度との比較ではなく、賃金を下げない
                                    誓約を求める
 改善事項2 実績報告書における3加算の賃金額比較の一本化
 改善事項3 計画書および実績報告書における事業所ごとの賃金総額等の記載の省略

 様式の簡素化以外にも介護職員の働く環境改善に向けた政策パッケージも示されていますのでご確認ください。

 最後に介護事業所における処遇改善加算の取得状況も公表されています。処遇改善加算で93.4%、特定処遇改善加算で75.1%、介護職員処遇改善支援補助金(昨年9月で終了)は75.1%交付率となっています。ネットでも加算の取得状況が公表されており、求職者から見れば「処遇改善加算未取得(または低い加算)=賃金が安い事業所=ここの事業所には応募しない」と思われてしまう可能性もあります(要は採用に直結する)。加算を取得しない理由はいろいろとあるでしょうが、可能な限り加算を取得(しかも上位の加算)する必要があると思います。
厚生労働省の介護職員処遇改善加算等の申請様式の簡素化についてはこちらからご覧になれます。
 

年明けの不動尊、屋台と
たくさんの人で賑わっていました

【2023年1月6日】

-No.22 4月から時間外労働の割増賃金率が改定されます

  平成22年4月に改正された労働基準法では、時間外労働の際に支払う割増賃金の割増率が改定されています。今まで大企業のみ適用されており、中小企業は猶予措置より10年以上適用対象外となっていましたが、令和5年4月より猶予措置が撤廃となり、中小企業でも改定された割増賃金率が適用されます。
 中小企業の場合、今年の3月までは法定労働時間である一日8時間および週40時間(常時使用する従業員が10名未満で一定の業種に該当する場合は、特定措置対象事業所として週44時間)を超える時間外労働に対する割増賃金率は25%以上とされていましたが、4月からは1か月の時間外労働が60時間を超えると、60時間を超えた部分に対して更に25%上乗せされて割増賃金率が50%以上となります。
 【割増賃金の事例①】
 職員の時給  1,200円
 時間外労働が月60時間未満の割増賃金(時給) 1,500円
 時間外労働が月60時間を超えた際の割増賃金(時給) 1,800円
 ※この時間外労働時間には法定休日(主に日曜日)に勤務した時間は含まれません。 

 更に60時間を超える時間に深夜労働を行うと、深夜労働の割増率(25%)と合わせて、割増賃金率75%以上(60時間超の割増率50%+深夜割増率25%)の割増賃金を支払う必要があります。
 【割増賃金の事例②】
 時間外労働が月60時間を超え、かつ深夜労働があった際の割増賃金(時給) 2,100円 

 割増賃金率の引き上げは、長時間労働を抑制することを目的としています。ただ臨時的な特別な事情等によってやむを得ずに超えることも考えられます。このため、60時間を超えた時間外労働に対する割増賃金の支払いに代えて、労働者の健康確保措置として有給の代替休暇を付与することも可能です。ただし、この代替休暇を付与する場合は、労使協定を締結すること、および代替休暇の取得は労働者の意思によって決定させる必要があります。
 (代替休暇の考え方)
 当月の時間外労働時間数 80時間
 代替休暇を取得しなかった場合に支払うこととされている割増賃金率 50%
 代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率 25%
 (80時間-60時間)×(50%-25%)=5 ←5時間の代替休暇の付与(有給)
 ※代替休暇は健康確保の観点から、一日または半日で付与する必要があります。

 このように時間外労働が増えることは人件費の増大や労務管理の煩雑化に繋がります。労働時間管理は複雑で煩わしい面もありますが、経営者が関心を持ち、長時間労働をチェックし改善する取り組みがとても大切なことと言えます。

紅葉の葉も落ち始めていました

【2022年12月15日】

-No.21 カスタマーハラスメント

 今月は職場のパワハラ防止月間です。それに合わせてカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)に関するご相談も増えてきました。現在、カスハラを直接規制する法律はありませんが、パワハラ防止法(労働施策総合推進法)を受けて厚労省から示されているパワハラ防止指針では、「事業主は顧客等からの著しい迷惑行為によって雇用する労働者の就業環境が害されないよう、相談対応体制や被害者への配慮のための取組、ハラスメント等防止のための取組を行うことが望ましい」とされており、事業主としてカスハラから従業員を守るための取り組みが求められています。ここで言う顧客等には実際の顧客だけでなく、今後将来的に顧客になり得る者も含みます。そして著しい迷惑行為とは暴行、脅迫、暴言、著しく不当な要求等とされており、例えば土下座の強要や名誉棄損、継続的執拗な言動、社会通念上不当な金銭保障の要求等が挙げられています。カスハラを受けることにより、労働者は就業環境が害され、メンタル疾患や体調不良に繋がることもありますし、会社の対応次第では会社への不信感が強まり休職や退職に繋がるケースもあります。

 顧客等が提供するサービスに対し不平や不満を伝えること自体が当然ながら問題ではなく、社会通念上不相当なものが問題であり、事業主として社員を守り安心・安全な職場を作ることが責務と言えます。業種などによってカスハラが起き易い職場、起き難い職場はありますが、特にカスハラが起き易い職場では、事業主としてカスハラ対応方針の策定や相談窓口体制の整備、カスハラ時の対応に関する研修の実施などを検討しては如何でしょうか。特に担当する社員一人にカスハラ対応を任せてしまうと却って解決に時間を要したり、不当な要求に応じてしまうこともあるかもしれません。

 クレームとカスハラの境界線は一概に決めることはできませんが、カスハラ対策に積極的に取り組むことにより、いざという時にスムースに対応でき、また社員も会社から守られているとの意識を持つことによって会社への信頼感が増し、結果、職場環境も良くなると考えます。取組に際し、不明点などあればお気軽にご相談ください。

紅葉がきれいです

【2022年11月9日】

-No.20 デジタル通貨での給与支払い

 賃金のデジタル支払い(資金移動業者の口座への賃金支払い)が来年4月より解禁される見通しとなりました。労働基準法第24条では賃金は通貨で直接労働者に支払うことになっています。ただし法令や労使協定等の定めによって通貨以外の方法で支払うことができるとされています。なお、労基法第24条では、賃金は毎月1回以上、一定の期間を定めて支払わなければならないとされています。

 今回のデジタル通貨支払ですが、①労使協定を締結した上で、②労働者から同意を得て、③厚生労働省の指定を受けた移動業者の口座への資金移動によって賃金を支払うことが可能になります。

 デジタル通貨での賃金の支払いに際しては、事業主はデジタル通貨の口座だけでなく銀行口座等への支払いもできるようにしないといけないことや必要事項の説明も義務付けられます。また、移動業者に対しては、口座残高上限額を100万円以下とすることや1円単位での引き落としも可能とするなど条件が定められるようです。

 ここまで書くと、使い勝手の悪そうな制度だなと感じます。労働者側からすれば、現在は銀行口座に入金されてもスマホで簡単に他の口座に資金移動できますし、各種公共料金などの支払いも銀行口座経由で行われていますので、デジタル通貨で支払われてもあまり利便性を感じないでしょう。事業主側から見てもデジタル通貨に一本化する訳ではなく、説明義務や事務手続きの負担が増える分、デジタル通貨での支払いを推奨する気持ちにはならなそうに感じます。

 それでもデジタル通貨支払は時代の流れとも言えます。利用を希望する社員が現れる可能性もありますので、制度の概要は把握しておいても良いと思います。

 

浅川に白鷺(しらさぎ)が
遊びに来ていました

【2022年10月20日】

-No.19 10月から雇用保険料が改定

 雇用調整助成金などの大盤振る舞いもあって雇用保険財源が枯渇したことなどを受けて、今月から雇用保険料が引き上がっています。今年は春にも雇用保険料が引き上っていますので、今年2度目の引き上げになります。年度途中での引き上げのため、対応を失念して給与計算する可能性があるので注意が必要です。
 もっとも雇用保険の場合、従業員は毎月の給与から控除されますが、事業主はそれを預かって事業主負担分を合わせて年に1度の確定保険料申告で支払うことになります。事業主はあまり引き上げの実感が乏しいかもしれません。

 春に保険料が上がった時は事業主負担分のみ引き上がっていますので、会社員の方は今回から引き上げを実感することになります。春に従業員分を引き上げなかったのは6月の参議院選挙対策と言われています。

 今回の引き上げでは、労働者負担が従前は3/1000から5/1000(一般の事業の場合)になっており、20万円の賃金であれば今まで600円から1,000円の負担になります。社会保険に比べると負担が増えた感は少ないかもしれません。ちなみに事業主は6/1000から8.5/1000(同じく一般の事業)となっています。従業員は数百円から千円前後の負担増の方が多いでしょうが、会社は従業員数が多いほど負担感は高まると思います。しかも年に1度の確定申告での支払い(3回の延納は可能)ですから余計に今までに比べて保険料が上がったと感じるかもしれません。

 保険料の引き上げに伴う賃金の控除ですが、10月分の賃金からとなっています。10月に入ってから賃金締日がある日以降から引き上げとなりますので、末締め翌月支給であれば来月支給分の給与(11月になって支払う分)から雇用保険料が変わることになります。よって10月の給与計算(9月分)でうっかり控除しないよう注意しないといけません。給与計算システムに拠っては自動で判定してくれると思いますが、保険料率を自分で設定するようなシステムだと注意が必要です。一度、システム対応を確認してみてください。

事務所近くの浅川

魚が沢山 泳いでいました

【2022年10月7日】

-No.18 管理監督者性について-

 先日の東京地裁での管理監督者性の判断についてご紹介します。           飲食店を営む会社に平成28年に入社した労働者は、当初は厨房担当として勤務していましたが、途中から店舗責任者として店舗運営に携わることになりました。
 店長として月額30万円の賃金を貰っていましたが、会社側は管理監督者に該当するとして時間外・深夜割増賃金を支払っていませんでした(他にも雇用期間内に賃金の未払いなどもありましたが省略。)。なお、店舗に正社員は1名だけで、他はアルバイト等のみだったとのことです。
 これに対して労働者は、管理監督者に相応しい待遇とは言えないことから、残業代の不払いの支払いを求めたのが裁判の概要です。 

 管理監督者性については、次の判断基準があります。
①経営上の決定に参画している、②人事の採用などについて一定の権限がある、③自己の労働時間について裁量が与えられている、④管理監督者に相応しい賃金等が支払われている。

 会社側は労働者はアルバイトの採用やシフトの決定権があること、メニューや価格、食材の仕入先決定の権限があることから管理監督者であると主張しましたが認められませんでした。アルバイトのみの職場で、自らの労働時間はアルバイトのシフト次第であること、また賃金30万円は管理監督者に相応しい賃金とは認められないとしています。
 結果、地裁では約960万円の未払い残業代等の支払いを命じています。

 管理監督者については、名称如何に問わず実質的に判断することになっており、単に「店長」や「課長」の役職を与えるだけではなく、実質的な立場や働き方を以って判断することになります。

 管理監督者を任命している会社は、改めてそれに相応しい待遇等を与えているか見直すことも必要と言えます。なお、今は管理監督者として認められるのは社員の10%程度と言われています。多数の管理監督者を任命している会社は、一度見直してみては如何でしょうか。

水辺にあった蓮の葉が
目線の高さまで大きくなっていました。

【2022年9月1日】

-No.17 社会保険労務士試験-

 先週日曜日(8/28)は第54回社会保険労務士(以下、社労士)試験日でした。社労士は近頃では注目資格の一つに挙げられていますので、社労士事務所に勤務したり、会社で人事総務部門で勤務している方以外でも社労士合格を目指す方も増えているようです(私もその一人でした)。まずは受験された皆様、大変お疲れさまでした。
 
 私が受験していた頃は、お盆明けに試験があり、11月上旬に合格発表のスケジュールでしたが、試験がマークシート方式ということもあり、今は10月早々には発表されるように変わっています。試験が終わると会場外には解答速報を配る社労士受験の予備校がいて、帰りの電車で答え合わせをしたものです。また早い受験予備校では、試験日夜には解答速報と合格予測を行いますので合格か不合格か判断できます。合格しそうと分かれば、後は10月初旬まで気楽に合格通知を待てばいいだけですが、残念ながら不合格の可能性が高いとなると、もう1年勉強するか資格取得を諦めるか決断する必要があります。

 どこかの雑誌で、社労士に合格するためには年間800~1000時間の勉強が必要とのことでした。社労士試験の学習範囲は非常に広く、試験では勉強していない実務や判例も出ることもあり、仮に今年1点足らずに不合格となっても来年確実に合格する保証はありません。運に左右される面が強い試験と言えるのかもしれません。そのため例年、社労士試験の合格率は6%前後と狭き門となっています。また、特に会社勤め中の方は試験勉強は主に平日夜と土日に行うことになるため、家族の理解も必要になります。子供が小さいと猶更悩むと思います。あと参考書代や模擬テスト代などお金もかかりますし。

 試験が終わって日も浅いので、とてもこれからのことを考える余裕はないかもしれませんが、試験の出来に自信がなく、また勉強するかどうかで悩む方は、せっかく今まで時間を投下して勉強した訳ですしぜひ合格するまで続けてほしいなと思います。ここで終わってしまっては「過去の淡い思い出」でしかないです。受験の経験は大して役にも立たず(実務と試験は違いますし)、せいぜい誰かと話した際の世間話のネタ程度ではないでしょうか。やはり社労士が資格制度である以上、合格しないと何にもなりません。

 逆に合格してしまえば、開業するのもしないも自由であり、自分の人生の選択肢が増えることになります。真剣に社労士試験に臨んだ方は、少なからずの時間を投下したはずですので、ぜひ挫けずに気持ちを切り替えて合格をつかみ取ってほしいものです。

高幡不動尊の赤と、木々の緑、そして
紫陽花のコントラストがきれいでした。


【2022年8月2日】

-No.16 最低賃金の引き上げついて-

 本年10月頃から適用される最低賃金が現下の物価高などの影響もあり過去最高となる全国平均で31円(約3.3%)の引上げとなることが中央最低賃金審議会で決定しました。
 最低賃金法により最低賃金は都道府県単位で決まることになっており、今後は都道府県最低賃金審議会で検討の上、決定することになっています。仮に東京で31円の賃上げとなると、10月頃から最低賃金は時給換算で1,072円になります。

 最低賃金法では最低賃金を下回る賃金は一部に例外を除いて禁止(障害者で労働能力が著しく低い者や試用期間の者など。ただし都道府県労働局長の許可が必要)となっており、最低賃金を下回る賃金を支払う事業者には罰則規定もあります。
 時給で働く方の場合、最低賃金は分かり易いですが、月給で働く方は月給を月の平均所定労働時間で割って計算します。その際、通勤手当や残業代(固定残業代含む)は月給に含みませんので、これを控除して計算します。案外と残業代を除くと最低賃金割れしている中小企業も見受けられますので、この機会に再確認してみてください。

 最低賃金が引き上がることは労働者から見れば喜ばしいことですが、最低賃金制度の問題点として、賃上げ額が小規模零細企業の実情を踏まえて決定される傾向にあることが指摘されています。最低賃金は労働者を保護する規定のはずが、結果、零細企業保護になっているように感じます。因みに最低賃金法第1条では「賃金の最低額を保障することにより労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定・・国民経済の健全な発展に寄与」となっています。今回、東京都で最低賃金が1,072円となったとして、月に176時間(8時間×22日)勤務して賃金は19万円弱。それから社保や住民税を控除すると手取りで15万円前後ではないでしょうか。なお、朝日新聞の報道では最低賃金から1.1倍の範囲で働く方は全体の約12%程度とのことです。

 最低賃金が引き上がることにより、現在の最低賃金水準で賃金を払っている企業は賃上げが必要になります。エネルギー価格の上昇や長引くコロナの影響で経営の厳しさは増していますが、対応しない訳にはいきません。
 国では「業務改善助成金」により賃上げする企業への助成を行っています。
      https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
 これは最低賃金から30円程度の範囲の労働者の賃金を上昇させ、かつ職場の生産性を向上させる取り組み(設備投資など)を行う企業に対し、設備投資費用の一部を助成するものです。単に賃上げだけでは助成されないので注意が必要です。10月以降の賃上げに向けて、今から助成金の取扱いを検討してみては如何でしょうか。ご不明点があればお問合せください。

日野にはとても良い
散歩道があります。

雨上がりだったので、
水車がよく回っていました。

【2022年7月15日】

-No.15 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)-

 令和3年4月より高年齢者雇用安定法が改正され、努力義務ながら中小企業でも70歳まで就業機会の確保に取り組むことが必要となりました。現在は多くの企業で60歳定年、65歳まで嘱託として雇用する(1年更新の有期雇用)ケースが多いかと思います。 (※就業機会の確保とは①70歳までの定年の引上げ、②定年制の廃止、③70歳前の継続雇用制度の導入などがあります。)

 人口の減少による働き手の確保や将来の生活不安もあり、多くの高年齢者が体力の続く範囲でできるだけ長く働きたいと考えています。もっとも周りの65歳前後の方を見れば、まだまだ若いですし(持病がなければ)隠居するには早過ぎると思います。

 国でも意欲がある高年齢者の就業機会の確保を支援するために「65歳超雇用推進助成金」制度を設けています。「65歳超雇用推進助成金」は①65歳超継続雇用促進コース、②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、③高年齢者無期雇用転換コースの3つがありますが、今回は③の高年齢者無期雇用転
換コースをご紹介します。

 このコースは50歳以上かつその会社の定年年齢未満の有期雇用労働者を無期雇用労働者に転換することよって受給できますが、次の(1)(2)を実施することが必要です。(1)無期雇用転換計画の認定、(2)無期雇用転換措置の施。
 よって現在、有期雇用契約によって雇用する50歳以上のパート、アルバイトがいる場合、無期雇用に転換(正社員転換する必要はありません)することによって助成金の利用を検討できると思います。ただし、有期雇契約期間が5年超の場合、労働者の申出により無期転換する制度が既にありますので、この助成金の対象となる有期雇用労働者は5年未満の方になりますので注意が必要です。

 上記(2)の無期雇用転換措置ですが、助成金の手引きに具体的な内容は記載されていますが、高年齢者向けの教育訓練の実施や作業方法等の改善、賃金体系の見直し、勤務時間制度の弾力化などのどれか一つ以上に取り組必要があります。必要があれば就業規則等への記載が必要になります。

 助成額は中小企業の場合、一人48万円(生産性要件を充たすと60万円)1年度(4月~翌3月)で1事業所10名まで申請ができます。比較的高年齢者が多く雇用される介護事業所やサービス業などで雇用の安定・定を図るのであれば活用されては如何でしょうか?助成金の申請にあたっては、当事務所でも申請のご支援をしておりますので、ご相談ください。

紫陽花が道沿いに咲いていて
歩いていると 癒されます。

色や形が めずらしい 紫陽花も
見かけました。

柏葉紫陽花
(カシワバアジサイ)

【2022年6月15日】

-No.14 介護BCP(業務継続計画)-

 令和3年度の介護報酬改定で全ての介護事業所にBCP(業務継続計画)の作成と研修・訓練の実施が義務化されました(ただし、経過措置として2024年3月までは努力義務)。
 BCPとは2011年の東日本大震災を契機に作成の必要性が高まった「災害が発生した際に業務をできるだけ継続するための計画」のことで、一般企業の場合は「事業継続計画」と言われていますが、介護の場合は「業務継続計画」とされています。
 社会的インフラである介護事業所は、自然災害や感染症等による不測の事態が生じたとしても事業を継続する必要性が高い事業と言えます。特に入所系の施設や訪問系の事業所では、自然災害が発生したからと言って事業所を休止するとの判断は難しく、特に入所系の施設では自然災害発生時には地域の中核的な施設として臨時に高齢者等の受け入れなど頼られることもあるかと思います。

 介護事業所のBCPでは自然災害用と感染症対策用の2パターンの作成が必要とされています。
 自然災害が発生した場合には、例えば高いところから物が落ちてこないか、窓が割れて避難時の支障にならないかの点検、水道や電気、ガスが止まった時の対応、利用者(および職員)のケアなど多くの点検や見直しが必要になると思われます。また感染症対策ではゾーニングの設定やマスクなど備蓄するものの確認などこちらも多岐に亘る見直しが必要になると思われます。

 BCPの作成では各事業所の実情に応じて作成することが重要になります。ネットなどで参考事例をダウンロードして作成しても、自事業所の現状に適していなければ全く役に立ちません。またチェックする項目も多く、作成には時間もかかることが予想されます。
 併せて介護のBCPでは、単に作成するだけでなく年に1回または2回の研修・訓練も求められています。BCPは自然災害でも感染症等でもどれほどの規模か想定しにくいですし、研修・訓練をとおし、作成したBCPの理解はもちろん、不足・課題を洗い出しブラッシュアップする必要があります。

 BCPの作成は外部の専門家に委託して作成するものではなく、事業所の現状を理解する管理者などを中心に進めていくものですが、事業所内だけでは忙しいのでつい後回しにしてしまったり、途中で挫折してしまうこともあるように思います。外部の専門家を上手に活用し(ファシリテーター役として)早めに着手されることをお勧めいたします。
 もちろん弊所でも作成のご支援をしておりますので、ご関心があればお問合せください。
 
介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修資料・動画|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

高幡不動尊の
あじさいまつりが 始まりました。

様々な色や種類の紫陽花を
見ることができます。

【2022年6月14日】

-No.13 開業3年周年&法人設立のご報告-

6月で開業3周年を迎えることができました。どの事業でもそうでしょうが、新規事業は開始して3年持たずに廃業するパターンが一番多いようです。
弊所は有難いことに多くの素晴らしい出会いやご支援に支えられ、何とか4年目に突入できました。関係する皆様に心から感謝です。今後とも事業の発展に邁進すると共に関係する皆様に少しでもお役立ちできるよう職員一丸となり取り組んで参りますので、引き続きご指導くださいますよう宜しくお願いいたします。

また6月6日には東京法務局立川出張所に法人の設立登記をして参りました。社労士事務所と併設して「株式会社ともすコンサルティング」を設立しましたことをご報告します。
会社名のともすは「灯りをともす」のともすです。
主に労務のことでお困りの方に寄り添い、「心に灯りをともす」お手伝いができたら素晴らしいな、と思って名付けました。
別に法人を設立せずに(個人の)社労士事務所でもできるのでは?、と言われそうですが、どうしても社労士事務所名では活動に限界がある(対外的な信用やイメージなど)でしょうし、法人があることで可能性も広がるのではないかと信じ設立しています。法人では先ずは主に研修事業や労務コンサルティング事業に力を入れる予定です。活動が具体化したらHPにもアップしたいと思っています。

まだまだ想いだけで何も出来ていませんが、小さく生んで大きく育てることができるよう取り組みたいと思っています。
こちらもどうぞ宜しくお願いいたします。
 

事務所の職員と食事会。みんなで
スペイン料理を食べました。

パエリアもデザートもおいしく、
楽しいひとときとなりました。

【2022年6月1日】

-No.12 労働保険料の申告の時期になりました-

今年も労働保険料申告(令和3年度確定分と令和4年度概算分)時期となりました。労働保険とは労災保険と雇用保険のこと。事業主には先月までに厚生労働省より申告書一式が届いているかと思います。今年度の労働保険料の申告は7月11日(月)までに行い、かつ保険料の納付も11日までに行う必要があります。労働者を一人でも(仮にアルバイトとしても)雇用する事業主は、労働保険料の申告・納付が必要になりますので、到着した申告書資料は早めに確認し、資料の作成に着手してください。

今年度の労働保険料の申告で言えば、雇用調整助成金の支給が大幅に増え、雇用保険財源が枯渇したこともあり、令和4年4月から雇用保険料率が引き上げられています。

具体的には「一般の事業」の場合、労働者負担は従前と変わらず
3/1000ですが、事業主負担は6.5/1000(3月までは6/1000)に、
10月からは労働者負担として5/1000、事業主負担として8.5/1000になります(農林水産業や建設業は料率が違いますので、下記のURLをご参照ください)。
https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf

そのため、労働保険料の申告に関しては、令和4年分の概算保険料申告の際に年度の途中で料率が変わるため注意が必要です。郵送される申告書と一緒に「算定基礎賃金集計表/概算保険料(雇用保険分)算定内訳」が同封されていますので、先ずはそちらを使って概算賃金を集計してみてください。

労働保険料の申告は年に1回、しかも原則この時期にしか行いませんので、我々社労士でも忘れていることがあったりします。そのため5月頃から申告業務に関する研修会などが開かれ、私も確認の意味からも参加しています。

この時期は同じく7月11日までに社会保険料の定時決定の届出も行います。
こちらについては改めてブログにしたいと思います。

労働保険料の申告についてご不明な点がありましたらお近くの労働基準監督署で社労士が相談コーナーを設けて対応しています。お気軽にご相談ください。また弊所では申告書の提出代行も行っております。

あじさいが蕾を付け始めて
いました。高幡不動尊の
あじさいまつりが楽しみです

【2022年5月9日】

-No.11 アンガーマネジメント研修の依頼について-

有難いことにアンガーマネジメントに関する研修を自社で開催したいので、講師を引き受けて欲しいとの依頼をいただくことが増えてきました。特にパワハラ(パワーハラスメント)対策の一環としてアンガーマネジメントも含めて研修してほしいとのご相談・ご依頼を月に何度かいただきます。

アンガーマネジメントは「怒りと上手に付き合うための心理トレーニング」と言われています。怒らないことを目指すのではなく、感情的にならず、上手に自分の思いを伝えることを目指します。パワハラ行為者の多くは、怒りたくて怒っているのではなく、衝動的に必要以上に強い言葉や不要な言葉を使って接してしまいます。アンガーマネジメントを活用して、イラっとした時に上手に相手と接することができればパワハラを無くし働きやすい職場作りに繋がるとと考えます。

実際に弊職が企業研修で行っている内容としては、1時間程度パワハラについて説明します。受講者が管理職のみの場合と一般社員がいる場合と若干違いますが、パワハラのない組織作りをする上で、知識としてパワハラの正しい理解は不可欠です。少々固い話もありますが、厚労省のパワハラ指針を中心に具体的な事例を交え解説しています。その際、(コロナ禍でなかなか難しい面もありますが)周りと意見交換してもらうようにしています。パワハラとパワハラではない指導との境界線は人に寄って差があることが往々にあります。意見交換することによりその差を埋め、パワハラの理解をより深めるようにしています。
その後、アンガーマネジメント研修になりますが、内容は主に入門講座の内容を中心に、特に「自分のべきに気付く」「6秒やり過ごす」ことなどを説明しています。その際、アンガーマネジメント診断を全員に事前に受検いただくようにしています。受検することにより、自分の怒りの傾向が分かり理解も深めることができます。アンガーマネジメントで概ね1時間から1時間半程度。よって企業研修の場合は、基本形は2時間半程度になります。もちろんご依頼先によっては、2時間半も時間を確保することができない場合もありますので、担当者の意向も踏まえ、研修を行っています。

コロナ禍となり、研修機会が減ってしまった企業も多いかと思います。未だ新規感染者は多い状況ではありますが、社員のスキルアップや従業員間の意思統一を図ることも不可欠なことです。アンガーマネジメントだけでは
ありませんが、企業研修を受託しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

ボケの花も色とりどり
きれいに咲いていました

【2022年4月17日】

-No.10 採用の際に労働条件は通知していますか?-

先日、ある労働相談で採用の前の説明と採用後の労働条件が違うとの相談がありました。具体的には社会保険に加入してくれない、年次有給休暇を取得させてくれない(ウチの会社には有給はないと言われた)、労働条件通知書を交付してくれない等でした。
労働条件通知書の交付ですが、労働基準法第15条では労働者への労働条件の明示が義務とされており、具体的に記載しなければならないことも定められています。具体的に記載しなければならない事項は、厚生労働省HPにひな型と共にアップロードされていますので、ご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1l.pdf

労働条件の明示は書面(労働条件通知書)によるものが一般的ですが、近年の改正により労働者が望めばFAXやSNS等を活用することも可能となりました(ただしショートメールなど文字数に制限があり、印刷して確認するものとして相応しくないものは望ましくないとされています。)。

しかし、残念ながら労働条件の通知を交付していない企業も散見されます。労働契約自体は口頭でも成立するものなので、口頭で賃金や勤務時間を説明して終了してしまうこともあるようです。当然ながら、労働条件の明示(通知)は、例外規定はなく、「アルバイトだから」、「零細企業だから」交付しなくて良いなどありません。交付していないと、いざ労働トラブルが発生した際、「言った言わない」の議論となってしまいますし、何より労働者が会社に対して不信感を持つ元になってしまいます。

労働条件通知書は2通作成し、採用した際に読み合わせて内容を確認して貰い、署名の上、1通は労働者保管とすることが望ましく、できればその際に一緒に就業規則も渡し服務規程など説明する方がより良いと思います。

高幡不動尊の桜も満開でした

【2022年4月8日】

-No.9 就業規則の周知について-

常時雇用する労働者が10人以上になると作成・届出が義務付けられている就業規則(今は職場のルールブックとの位置づけから労働者が10名未満でも作成する企業が多い)ですが、就業規則は単に作成するだけでなく、労働者への周知も必要です。
先日、就業規則の周知に関する裁判がありましたのでご紹介します。
かなりざっくりしたご紹介なので、興味のある方はご自身でも調べてみてください。

この裁判は定額残業代(みなし残業代や固定残業代ともいいます)を採用する企業に勤める労働者が未払い残業代の支払いを求めたもので、会社側は就業規則や労働契約書に定額残業代制度を明記しており、未払い残業代の支払いは不要と主張していました。また、この会社の就業規則は、額縁に入れて会社の壁に吊るしており、いつでも見ることができる(周知している)とも主張しています。
これに対して裁判では定額残業代制度を明記した就業規則は45ページもあり、額縁に入れて壁に吊るしているとの主張は不自然であるとしてこれを認めず、結果、就業規則は周知されておらず、定額残業代制度を否認し、未払い残業代の支払いを命じる判決となりました。他にも定額残業代の運用に関し問題があったようです。

皆様の会社でも就業規則は届出の際に労働者に回覧したり、説明会で配布したりして、周知に努めているかと思います。大切なことは、その後も労働者が自由に見ることができる状態にしておくことで、鍵付きの金庫や社長の机の引き出しに入れて自由に見ることができない状態であることは周知していることにはならないと言えます。
就業規則の有効性を確保する上でも「周知」はとても重要なことです。改めて皆様の会社の管理状況を確認いただければと思います。

【2022年3月9日】

-No.8 中小企業の退職金準備-

たまたまですが、退職金の準備のご相談が続きました。現在、中小企業で退職金を準備するためには主に次の方法があるかと思います。①自己資金を金融機関等に預ける、②国の制度を活用して積み立てる、③業界団体で組織する共済制度を活用する、④企業型DCを活用する、⑤生命保険(養老保険など)を活用する。

それぞれ主な特長(私見も含めて)は以下のとおりです。

1.自己資金を金融機関等に預ける

 自己資金を金融機関等に預入れするのは、当然ながら最も簡単な方法ですが、資金的にかなり余裕があり、まとまった金額を預けるのではあれば別ですが(この場合、そもそも準備不要でしょうが)、継続して預入れするのは大変ですし普通に金融機関に預け入れても金利は全く付きません。逆に金利が付く金融商品に預け入れると運用を自分で行う必要もあり一定のリスクが伴います。

2.国の制度を活用して積み立てる

 国の制度で言うと中退共(中小企業退職金共済制度)があります。法律で定められた制度で独立行政法人勤労者退職金共済機構に預け入れ(積立て)ることになり、事務所では先ずはこちらをご紹介しています。

主な特長は以下のとおりです。

・一定期間掛金を拠出した後、金利は1%付きます。

・原則、従業員全員が加入する(包括加入)する必要があります(短期雇用者や退職が近い方など例外有り)。掛金(預け入れ)は事業主が全額支払い、従業員は支払いません。掛金は全額損金算入できます。

・事業主は預入れするだけなので、運用の必要はなく、国の制度なのでリスクもありません。

・月5千円(短期雇用者はもっと少ない金額も可)から預け入れでき、入社年数によって増額も可能です(最大月30千円)。一部、国から掛金の助成もあります。

・加入1年未満は退職金は支給されず、一定期間預入れしていないと元本割れします。

・退職金は全額退職者に振り込まれます。仮に懲戒解雇した社員でも減額することはできません(預入額を減額することは可能)→ここのところが事業主からすると一番のネックになるかもしれません。 等々

・加入は金融機関や委託事業団体経由となります(当事務所も窓口となっています)。

3.業界団体で組織する共済制度を活用する

 建設業でいえば建退協(建設業退職金共済制度)や介護でいえば社会福祉施設職員等退職手当共済などがあります。それぞれ特長がありますので、業界団体窓口に確認してみてください。

4.企業型DCを活用する

 企業型DC(確定拠出型年金)も近年注目されていて、活用する事例も増えています。特長としては、

・掛金の運用は従業員本人が行います。事業主は掛金を拠出するだけです。

・この場合、デフォルトはリスクゼロの金融商品(定期預金)に預け入れして、あとは従業員が金融商品を選択して運用することになります。

・基本は会社が掛金を拠出しますが、会社の承認があれば従業員自らも追加して拠出することが可能です。

・当然ながら従業員に一定のリテラシーがないと、定期預金に預け入れるだけとなるため、導入に際して、従業員教育の実施などが事業主に求められます。結果、(かなり)導入は面倒で、金融機関やコンサルタントの支援を受けないと導入は難しく費用もかかります。

・退職金として積み立てるため、原則、65歳まで引き出しできません。退職した場合は、個人の運用に切り替えることになります。

5.保険商品の活用も選択肢にありますが、これは省略。あまり商品がない(外資系が中心)です。

上記のことから、中小企業では中退共の利用と自己資金の活用を組み合わせて実施するのが一番無難なのかもしれません。最低限の退職金は中退共で積み当てておいて、あとは従業員の働きに応じて自己資金を使って上乗せで退職金を支払うようなイメージです。

企業型DCの活用も検討したいところですが、従業員自ら運用するため、普段からPCを利用したり投資教育を受け入れることができるような職種でないと難しいかもしれませんね。

何にしても退職金資金は長い準備が必要なので、早目の検討・準備が必要です。なお、新たに退職金制度を導入することにより活用できる助成金もあるので、併せて活用を検討してみても良いかと思います。

梅が咲き始めていました

春の訪れを感じます
 

【2022年2月9日】

-No.7 従業員が10名以下でも就業規則は必要??-

法人を設立したり、はじめて職員を採用する経営者からよく「就業規則はあった方がいいのでしょうか?」と質問を受けます。
労働基準法第89条では、「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項(盛田加筆:始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇など。絶対的記載事項と相対的記載事項がありますが、今回は省略)について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。」とあります。
なお、常時十人の常時とは採用退職の入れ違いはあるものの、概ね十人以上の労働者が働いている場合と捉えればよいでしょう。また、たまに「パートやアルバイトは0.5人に換算しても良いか?」と質問を受けますが、そのような規定はなく、パート・アルバイトも1名に換算します。

労基法的な観点から言えば、職員が10名に満たなければ作成する義務はありません。職員採用時に労働条件通知書を交付すれば法的な面では問題ないといえます。ただ、自分とは違う他人を採用して働いてもらいますので、就業規則により職場のルールや遵守してほしいことを明確にしておいた方が良いと考えますし、私自身、経営者から質問があればそのようにお答えしています。もちろん、職員数名の弊所にも就業規則はあります。

特に現在は労働者もネットなどから労務に関する知識も得ていますし、労務トラブルは発生しやすいと思います。また職員が少ない会社は採用時にそれほど時間や手間をかけて採用できないのが実情ではないでしょうか。採用してみたら・・・なんてこともよく聞く話です(現に弊所でも従業員数名の会社からハラスメントやメンタル疾患による休職の相談を受けます)。トラブルが発生する前に就業規則で職員として遵守すべきことや経営者としての判断基準を整理しておくことは、労務トラブルの防止だけでなくスムースな解決にも繋がります。また、経営者も無駄な時間やストレスを浪費することも避けることができます。
確かに専門家である社労士に頼めばお金もかかりますが、必要なコストと割り切ることも必要かもしれません(費用の相談に応じてくれる社労士もいますので)。

就業規則は法律だから作るものではなく、使用者はもちろん職員もルールを守り安心して働いてもらうためのものと捉えた方が健全ではないでしょうか。

【2022年1月28日】

-No.6 介護職員処遇改善支援補助金について-

岸田政権のコロナ対策の一環で介護職員を対象に新たな賃上げの仕組みとして2月から介護職員処遇改善支援補助金が支給されます。年度途中で支給開始となったり、従前の処遇改善加算、特定処遇改善加算と実施方法が違うこともあり、介護現場はもちろん、我々社労士も新たな情報に翻弄されながらキャッチアップを続けている状態です。
今回は2月からはじまる介護職員処遇改善支援補助金について整理します。
なお、介護職員処遇改善支援補助金は高齢分野の名称で、障害分野は福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金となります。

1.対象期間
 令和4年2月から9月の賃金引上げ分として支給されます。なお、10月以降は名称や仕組みを変更した新たな賃上げ制度がはじまることになっており、ただでさえ固い名称が多い制度が余計に分かり難くなっています。

2.補助金額
 対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均9,000円の賃金引上げに相当する額とされています。ただし、後述しますが、全て賃上げとして使われる訳ではなく法定福利費なども含めた金額となるようなので、支給分としてはもっと少なくなる見込みです。

3.取得要件
 (1) 処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している事業所(よってⅣ、Ⅴの事業所は対象外)
 (2)令和4年2・3月(令和3年度中)から実際に賃上げを行っている事業所で都道府県に賃上げ実施の報告      が必要
 (3) 補助額の2/3以上は介護職員等の毎月の賃金の引上げに使用 ただし、令和4年2・3月分は一時金による
  支給が可能
 (4)支給対象は介護職員が原則だが、事業所の判断で他の職員への配分も可能
 (5)申請に際しては、月額の賃金改善額を記載した計画書を提出し、報告書でも月額の賃金改善額の報告が
  必要

4.その他
 実際の申請は4月以降。支援補助金は6月以降の交付となる見込み

この件はまたブログにアップします。

【2022年1月17日】

-No.5 雇用保険マルチジョブホルダー制度がスタートします-

雇用保険法の改正により、令和4年1月1日より「複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者について、本人の申し出に基づき、雇用保険の高年齢被保険者になることができる」いわゆる「マルチジョブホルダー」制度が開始されます。

雇用保険の被保険者(加入対象者)となるための適用条件は、「週20時間以上の労働」と「31日以上の雇用見込みがあること」となっていますが、65歳以上の労働者に限り、複数の事業主に雇用され、合算して週20時間以上となる場合、雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者といいます)となることができ、失業給付(高年齢求職者給付)だけでなく、育児休業給付や介護休業給付、教育訓練等給付も一定の条件を満たすことにより受給可能となります。
なお、複数の事業主に雇用される際には、「それぞれが31日以上の雇用の見込みがあること(日雇い労働ではダメ)」と「1事業主の下での勤務は週に5時間以上」であることが条件となります。

この制度の特長的な点(通常の資格取得手続きと違う点)としては、マルチジョブホルダーの申請は労働者自らがハローワークに対して行う必要があることです。そのため申請にあたって労働者が戸惑い事業主等に相談や質問する場合もあるかと思います。
申請書類には事業主記載欄があり確認証明(賃金台帳や出勤簿、雇用契約書等)も添付する必要があります。労働者は自ら勤務先の事業主に申請書類への記載等を依頼し、ハローワークに届け出ることになります。当然ながら、事業主はマルチジョブホルダーへの加入を認めないなどの不利益な取り扱いは禁止されています。
労働者がハローワークに申し出した日が資格取得日となるため(通常は雇い入れた日等)、事業主は労働者が申請書類を用意した場合、遅滞なく記載や必要書類を用意する必要があります。

マルチジョブホルダーになることにより、雇用保険料の納付義務が発生しますので、65歳未満の労働者は条件を満たせば強制加入となりますが、マルチジョブホルダーの場合は任意加入となっています。また一度マルチジョブホルダーになると任意(本人の希望)で脱退(資格喪失)できません。雇用保険の納付に関しては、通常の労働者と同様の対応となります。

制度の詳細は厚生労働省HPにアップされていますのでご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000136389_00001.html

今月から始まるマルチジョブホルダー制度ですが、厚労省の検討部会では年齢の制限なく広く適用すべきとの意見もあったようです。結果、今回は65歳以上に限定しての適用となりましたが、将来的には年齢に関係なく適用されるようになるのかもしれません。

【2022年1月7日】

-No.4 新年明けましておめでとうございます-

新年あけましておめでとうございます。

本年が皆様にとって健康で実り多い一年となりますように。

今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
 

新年は箱根駅伝が気になりつつも2日より仕事をスタート。

翌週以降、研修会を3つ担当するためレジュメ作りなど行いました。新年早々仕事に追われる感もありますが、専念する仕事があることに改めて感謝するお正月でした。

今年の6月で開業して丸3年経過します。以前、先輩社労士の方より「社労士事務所の廃業で一番多いのが開業して3年以内」とお聞きしました。開業したものの思ったように顧問先企業や仕事を増やすことができず、再度、勤務社労士に戻るケースも多いようです。開業することが社労士にとって全てではありませんし、勤務社労士に戻ることも正しい判断かもしれません。

私の場合、多くの出会いやご縁に恵まれ、有難いことに(細々ですが)事務所を維持できています。これからもいただいたご縁を大切に誠実に仕事に向き合う所存です。

今年ですが、法人の設立を考えています。今までは余り人に話すことなく心の中で考えていたくらいですが、今月より日野市などが主催する創業塾に行くことにしてから実際に口に出すようになりました。現在の考えでは、社労士法人ではなく、株式会社形態のコンサル会社を設立して、主に経営コンサルや研修、給与計算業務の受託などを考えています。費用は社労士法人を設立するよりかかりそうですが、これも人生一回しかありませんからね。是非トライしてみます。

他にも今年トライしてみたいこと(もちろん社労士として)も幾つかありますが、これは改めてブログに書きたいと思います。

今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

高幡不動尊
紅葉がきれいです

【2021年12月1日】

-NO.3 アンガーマネジメントの研修依頼-

2022年4月よりパワハラ防止法(労働施策総合推進法)が中小企業にも適用となることや社内の人間関係をよりよいものしたいとの考えから、アンガーマネジメント研修の開催をご依頼いただくことが増えてきました。

アンガーマネジメントは「怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング」と言われています。私たちが持つ「喜怒哀楽」の感情の中で、「怒」の感情だけは上手に接していかないと人生が狂ってしまうことがあります。例えば怒りの感情(イライラ)を抱えたまま職場で人と接したことにより必要以上に強く言い過ぎてしまったり、家族や友人との関係が悪くなってしまったり。。。多くの人は怒りの感情表現は自分の性分であり、持って生まれたもので変えることができないと考えています。アンガーマネジメントは、怒りは癖(クセ)であり変えることができる(上手に付き合うことができるもの)と捉えています。

私が定期的に開催している「アンガーマネジメント入門講座」にもいろいろな方が参加されます。部下を持つ管理職者や子育て中のお母さん、医療・介護職者など多岐に亘ります。受講動機をお聞きすると「無駄に怒ってしまう自分を変えたい」と思って参加される方は多いように感じています。しかし私の話しを聞いただけでは何も変わりません(受講料をいただきながら恐縮ですが)。でも、講座でご説明するちょっとしたことを理解する、実践することにより少しづつですが怒りの感情と上手に付き合えるようになるのではないでしょうか。

企業でも「心理的安全性」が高い職場ほどイノベーションが起きやすいと言われています。「心理的安全性」とは何を言っても否定されずバカにされないような関係性のことで、そのような職場は自由闊達な意見が飛び交い、結果、いろいろなアイデア・知恵が生まれ易いということです。そのためには他者の意見にイラッとしたり、感情のまま発言してしまっていては駄目であることはご理解いただけると思います。そのためにもアンガーマネジメントの理解と実践が必要なんだと考えます。

アンガーマネジメント研修については、月に2回程度開催する入門講座(だれでも参加可)または企業などに出向いてオーダーメイドでの研修も開催しています。なお、小人数であればオンラインでも開催可能ですので、お気軽にご相談ください。

高幡不動尊 菊まつり
色とりどり 華やかでした

【2021年11月11日】

-NO.2 倫理法人会の学び-

「倫理法人会」ってご存じでしょうか?

会社員の方だと聞いたことのない方も多いのではないでしょうか。経営者の方であれば、同業者や関係先から入会などを勧められた方もいらっしゃるかもしれません。

「倫理法人会」は正式には一般社団法人倫理研究所に加入する法人(企業経営者等)の会員組織のことで、都道府県単位に組織されています。東京では「東京都倫理法人会」となり、現在、約4千の企業が加入しており、私(盛田)も会員です。倫理法人会の活動は単会と呼ばれる地域組織(主に市区単位)で行われており、東京都内には47の単会があり、私はその中の一つである「ひの多摩倫理法人会」に所属しています。

https://www.tokyo-rinri.net/hinotama/index.html

倫理法人会では創設者である丸山敏雄先生が示された「純粋倫理」を基底に明るく幸せに生きる、経営を良くするための考え方や実践原理などを学びます。「純粋倫理」など改めてブログに書きますが、要は「自分を磨き」、経営を良くするための学びの場であり、その中でも中心的な活動が毎週単会ごとに開催されるモーニングセミナー(MS)です。

毎週同じ時間に同じ場所で開催されるMSは、東京では一部会場の都合で例外はありますが、朝の6時半から7時半まで(その後、希望者はシェア会が8時過ぎまで)開催されており、誰でも無料で参加できます。

朝の時間であるため、忙しい経営者でも参加し易くかつ毎週同じ場所で開催されるので、継続して学ぶことができます。

倫理法人会との名前から宗教的な会と勘違いされる方もいますが、創始者を拝むこともなく、またお布施も怪しい壺を買うこともありません。

私は経営者として自分を磨き内面を高めることも専門的な知識を身に着けるのと同じように事業の発展にとって重要なことと考え、毎週倫理法人会で学んでいます。

このブログでも折々、倫理法人会の学びについて書きたいと思っています。

【2021年11月4日】                      
-NO.1 雇用調整助成金の特例措置延長-

弊所のHPをご覧いただき誠にありがとうございます。

11月より当HPをオープンしました。まだまだ情報不足な面はありますが、今後、充実を図って参りますので引き続きご覧いただければ幸いです。

【雇用調整助成金の12月以降の取扱いについて】

10月19日に厚生労働省より雇用調整助成金(緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金含む)の特例措置等に関する案内がありました。

現在の助成内容は12月まで継続し、来年の3月までは内容の見直しはあるものの継続することとなりました。

12月以降の内容については、改めて当ブログでもご案内いたします。

https://www.mhlw.go.jp/stf/r312cohotokurei_00001.html

新型コロナウイルス感染症対策としてすっかり定着した雇用調整助成金。今までコロナ特例での支給の終了が何度か議論されてきましたが、来年3月でいよいよ終了となりそうです。

助成金は5年間の書類の保存義務があり、その間に労働局の調査があると言われています。雇用調整助成金を受給した企業においては、ぜひ書類が保管されているかご確認ください。特に毎月申請していると、つい書類の保存が疎かになってしまっているケースもあると思います。

 

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